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第69号

2012年01月01日発行

増税反対!デフレを止めろ!

参議院議員西田昌司

鳩山、菅より酷い野田内閣

――参議院予算委員会「政治とカネ」の集中審議にて質問をしました(12月6日)――

九月に発足した野田内閣ですが、何の実績もないまま、参議院で、山岡、一川両大臣に対する問責決議が可決されました。新年からの通常国会は、この両名の罷免がない限り事実上開催できなくなりました。元々、山岡氏は選挙違反で捜査中であり、これを国家公安委員長に任命したことだけで問題です。さらに山岡氏はマルチ商法の広告塔だったのですが、その人物を消費者大臣にするというのは常識では考えられないことです。
また、一川氏も就任当初から防衛政策に関しては素人と公言するなど、大臣としての適性にかけていたことは誰の目にも明らかでした。また、忘れている人も多いでしょうが、鉢呂経産大臣も就任直後に舌禍で辞任しています。今回の決議は、両大臣の問題というより、不適格者を任命した野田総理自身の任命責任が問われるべきものです。ところがそれに対する反省が全くないのです。
そもそも、野田内閣が発足したのは、民主党の党内事情からです。ポスト菅の大本命であった前原氏が、外国人や黒い人脈からの献金で自滅し、親小沢対反小沢という根本対立が民主党には有り、党内融和を図るという言わば消去法で選ばれたのが野田氏です。その一方で、民主党には綱領が有りません。つまり、海図もエンジンもない船の船長に選ばれたのが野田総理だということです。
鳩山さんや菅さんも酷かったですが、間違いであったにしろ、彼らには主張が有りました。 ところが、野田総理にはそれさえありません。従って、何を質問しても役人の書いた答弁書を棒読みするだけです。
これを野田総理は安全運転と称しているようですが、これでは政治家同士の活発な議論などできるはずもありません。また、自らの外国人献金など、政治とカネの問題などは、いくら事実関係を指摘しても、最後は知らなかったということでごまかしてしまいます。これでは、言論の府としての機能を国会は果たせません。正に、民主党政権の酷さはここに極まれりです。

―― 自民党新潟県政経文化セミナーにて講演をいたしました ――

全ての問題はデフレ

野田総理は、震災復興を口実に増税をしようと企んでいます。確かに、予算のうち税より国債の方が多いというのは問題です。それが地方と合わせて1000兆円もあると言われれば、不安に思われる方もいるでしょう。しかし、それでも、日本が破綻することは絶対に無いのです。その理由は、日本の国債が円という自国の通貨で発行されているからです。最後は日銀が国債を引き受けることができるので、絶対に国債は返済不能にはならないのです。
日銀がいくらでも国債を買うとなれば通貨の信用が落ちてしまうと言う方がいますが、円高で困っているのですから多少円安になることはむしろ歓迎すべきことです。
そもそも、円高の原因は、デフレにより実質金利が、欧米より高いことにあります。日本では、金利が例え0%でも、デフレで物価が下がるため、その分だけ実質金利がついてしまいます。欧米では、金融不安を払拭するため大量の通貨を市場に供給し、さらに金利もどんどん下げ続けています。金利は、0%より低くできませんから、日本と欧米の名目上の金利差はほとんど無くなっています。その上、日本だけがデフレですから、実質の金利は日本の方が欧米より高くなっているのです。そのため、ドルやユーロより円が買われ、円高が続いているのです。これが円高の根本的原因なのです。円高により、輸出企業は大変な損害を受けています。円高を抑えるためにもデフレ対策が必要なのです。

緩やかなインフレが正しい経済政策

デフレは、需要が減り物価が下がることです。そのため、国民の給与が下がります。その結果、益々需要が減り、物価が下がり、さらに給与が下がるという悪循環が繰り返され、経済は破綻するのです。
インフレは、需要が増え物価が上がることです。物価が上がりますが、需要が増えるため雇用や給与も増えるのです。急激なバブルでは物価上昇に給与が追いつかず大変ですが、毎年2-3%程度なら全く問題有りません。日銀総裁も、私の国会での質問に対し、緩やかなインフレが望ましいと答えています。
デフレ脱却のためには日銀がもっとお札を刷れば良いのだと言われます。その通りですが、日銀がお札を刷るとはどういうことでしょう。日銀がお札を刷れば、いくらでもお金は出せます。しかし、まさかヘリコプターからばらまくことなどできません。その印刷したお札を銀行に渡し、それを銀行が民間に融資することによって始めて、通貨が世間に行き渡るのです。つまり、お札を刷るとは、銀行がどんどん貸出をする、そして、その資金を日銀が供給するということなのです。
ところが、デフレでは、日銀がいくら銀行に資金供給しようとも、貸出が増えないのです。民間銀行が150兆円を超える預金超過であることがそれを証明しています。デフレとは需要不足による物価の下落ですから、それも当然のことなのです。この状態では、いくら日銀が資金を銀行に供給しても銀行から企業に貸出は増えません。
この状態で政府が取るべき政策は、国債を発行して、震災復興や防災、インフラの更新や増強などの公共事業を向こう10年で200兆円ほど行って、需要を創り出すことなのです。これを実行すば、確実にデフレから脱却し、経済は再び成長軌道に乗るのです。

インフレにすれば税収は増える

日本はデフレが続いていたため、平成3年と23年のGDPは共に470兆円で、この20年名目上のGDPは全く増えていません。その上、この間景気対策で減税もしたため税収は逆に減り、60兆円から41兆円に減ってしまっています。減税をすれば、民間投資が増え、景気が良くなると思われていたのですが、現実には減税分は海外での投資に使われ、国内の需要を増やすことにならなかったのです。
こうした政策が取られた原因は、バブル以後、公共事業を抑え民間投資を優先する方が正しいと思われてきたからです。確かに、公共事業の急激な増加がバブルを招いた原因の一つであることは事実です。しかし、それに懲りて今度は公共事業は全て悪で無駄だと決めつけるのも問題です。必要な公共事業を行わなければ国土がもちません。
もし、この20年間、毎年名目上3%程度のインフレになっていたら、GDPは平成3年の1・8倍の850兆円に、税収は更に増え2倍の120兆円になっていたはずです。そうすればGDPも未だ中国に抜かれることなく世界第二位の歴然たる経済大国だったでしょうし、財政再建のために増税をする必要も無いのです。この数字を見ても分かるとおり、全ての問題はこの20年のデフレなのです。インフレは物価が上昇しますが、給料もあがります。それに伴い、GDPも税収も増えるのです。増税より先に、デフレからインフレに変えることが必要なのです。

TPPはデフレを加速する愚策

こうした経済の認識が無いまま、民主党の野田内閣は増税をし、TPPへの参加を強行しようとしています。全くの愚策です。デフレで増税をしたら経済は破綻してしまいます。更にTPPの参加はデフレを加速させてしまいます。TPPの問題点については何度も述べてきました。日本にとっては百害あって一利も無いものです。事実上の関税自主権を放棄するTPPより、他の自由貿易協定の方がマシなのは当たり前です。しかし、そもそもの問題は、日本を貿易立国にすると叫んでいる野田総理を始めとするTPP推進派の能天気です。
政府の試算でもTPPでは0.5%、他の自由貿易協定でも1.2%程度しかGDPの押し上げ効果は有りません。つまり、どのような自由貿易協定でも大してGDPは増えないのです。その理由は、輸出を増やすと言っても、製品を大量に輸出することはできないからです。今や現地生産現地消費が輸出の基本なのです。アメリカやアジアで売られている自動車や家電品は、日本ブランドではあっても多くが、Made in USAやMade in Chinaであり、Made in Japanではないのです。海外での生産が進んだ結果、いくら日本製品が売れても、国内の雇用が増えません。むしろ、雇用を海外に取られまいと給与が減額されてきました。事実、この20年、平均給与は下がり続けているのです。その結果、海外展開をした大企業は最高益を更新し続けましたが、国内の雇用が減り、国民の給与が下がったため、GDPも減ってしまったのです。このように、バブル以後の民間経済を主体にした構造改革、市場原理主義が国内を空洞化させ、デフレを招いたのです。

バブル以後の総括が必要、解散でただせ!

―― 西田昌司第2回東京セミナーを京都大学教授の藤井聡先生をお招きして開催いたしました ――

TPPや、自由貿易協定の推進論はこうした市場原理主義に基づいた政策です。それが誤りであったことは、この20年間の日本の惨状を見れば明らかでしょう。
こうした政策は、日本だけではなく全世界で行われてきました。そして、それが失敗であったことはリーマンショックが証明しています。ところが、このことが野田総理を始め、TPP推進派には分かっていないのです。
何とかにつける薬はないと言いますが、国会での議論も、いくら問題点を指摘しても、全く理解していません。そのことをマスコミも報道しません。世界の流れだから仕方がないと勝手に思い込んでいるのです。今、私にできることは、こうした事実を少しでも多くの国民に知っていただき、国会を解散させ、国民に信を問うこと以外有りません。本年もよろしくお願い申し上げます。

樋のひとしずく
−ボリビア通信−
羅生門の樋

“Felicidades Navidad y Nuevo Año” 新年の挨拶の習慣のない南米では、これが年末年始の挨拶です。意味は「メリークリスマス、新年おめでとう」ですか。街角や喫茶店でこの挨拶があふれます。日本では今年ほど「絆」という言葉が氾濫した年はないでしょうね。未曾有の自然のエネルギーの前には、人間の英知や営みなどは“たかが知れたもの”と思い知らされました。その無力な人間が自己の存在の儚さを自覚し、相互に寄りあい助け合う、この人間愛の築く過程を絆と呼ぶのでしょうね。実に愛のある言葉だと思います。この絆は人と人との断ちがたい関係という意味だそうで、何も自分が不安だから、人を求めるという意味ではなさそうです。先日も「鍋料理を作って家族の絆を」というスーパーの宣伝があると伝聞しました。
 ところで、「私は素人」と言った防衛大臣が問責を受けましたが、ここボリビアの国防大臣に30歳過ぎの眉目秀麗な女性が就任していました。彼女は並みいる将軍を抑え、過去にクーデターで軍事政権を樹立した軍部を掌握しています。5月にはチリ国境で軍と国境警備隊との間で衝突がありましたが、これを大事に至らせずに納めています。また、8千人が被害を受けた大規模な土砂崩れの際にも、軍を投入し、その先頭に立って救助活動を指揮しています。そして、10月初めに平穏な生活を壊されたくないと道路建設に反対していた女子供を含む先住民のデモ隊400人が夕食の準備をしていた時に、内務省管轄下の500人の武装警察隊が襲うという事件がありました。(インディアン部落を襲う騎兵隊という、まるで西部劇のようです。)この際に彼女はその日の内に、「国民を守るのが国防大臣の職責である」と大統領を批判し大臣の職を辞しています。
 彼女も国防には「素人」で、一介の学者にしかすぎません。しかし、その判断力や職に対する責務は、どこかの国の防衛大臣に学んで欲しいところです。「襟を正して」と庇う任命権者と「これからもきっちり」と職に留まりたいと言う大臣。これはどんな「絆」なんでしょうか。国の未来と民の生活を守るという「覚悟」の鍋を、二人には味わってもらいたいものです。

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