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第98号

2019年05月01日発行

財政再建至上主義は間違い!
MMTを活用せよ!

参議院議員西田昌司

世界で話題のMMTとは?

参議院決算委員会での安倍総理への質問

 MMT(modern monetary theory 現代金融論)が今、世界で注目されています。元々は、トランプ大統領と大統領選を競った民主党の大統領候補サンダース氏が、自らの経済政策の柱として訴えたことが端緒です。MMTの最大の特徴は、貨幣の本質を金貨のようなモノではなく、銀行による信用創造だとすることです。
 確かに、貨幣には金貨などが使われており、紙幣が流通するようになっても、金と交換できる兌換紙幣として使われていました。しかし、ドルが金との交換を止めてから、もはや世界中に兌換紙幣はありません。金の保有量とは無関係に、中央銀行の管理の下、紙幣は発行されています。紙幣自体には何の値打ちもありませんが、国家がこれを税金の支払い等の手段として認め、強制的に流通させることによって、支払い手段としての価値を持つようになっているのです。

銀行預金は借金する程増える

 ところで、現実の取引で支払い手段として使われるものは、紙幣などの現金ではなくて、圧倒的多数が銀行預金による口座振替です。つまり、銀行預金が使われている貨幣の大部分を占めているのです。
 では、銀行預金はどのようにして増えるのでしょうか。普通に考えれば、皆さんが銀行に現金を預けることによって、銀行預金が増えると思うでしょう。もちろんそのようにしても銀行預金は増えますが、預金が増える理由のほとんどは、銀行の融資によるものです。
 銀行が融資することを信用創造といいます。銀行が借り手に信用を与える(与信)ことにより、借り手の口座の預金残高が増えるのです。したがって、銀行は皆さんから預かった現金を元手にして貸付をしているのではないのです。従って、理論の上では、銀行は借り手への与信により無限に銀行預金残高を増やせるのです。
 現実には、その預金残高に合わせて中央銀行に準備金として預金を預け入れることが必要ですし、BIS規制(国際決済銀行は自己資本率が8%以上)も有ります。また、借り手が返済不能になることもありますから、信用創造にも一定の限界は有ります。しかし、銀行預金の量は信用創造によって決まると言う事実は動きません。このことは、4月4日の参議院決算委員会で、私の質問に対して黒田日銀総裁が明言しています。

借り手不足が信用創造を阻む

 銀行預金が銀行による信用創造、つまり銀行からの借金であるという事実は、今日の日本経済の問題が何であるかを示しています。しかし、残念ながら日銀がいくら異次元緩和をして、銀行に資金提供をしても民間企業が借りないのです。民間企業はいくら金利が安くても先行きが見えない状況下では、不要の資金は借りません。返済できるという確信が無ければ借入というリスクはとらないのです。信用創造の要は、最後は借り手の意思によるのです。

国債の発行は国家による信用創造

 銀行預金は銀行が貸し付ければ事実上無限に増えるという事実は、国債の発行が多過ぎて国家が破綻するから財政再建をしなければならないという論法が、完全に間違っていることを証明しています。国家が国債を発行することは確かに国の借金ですが、それは同時に国民に同額の預金を提供したことになります。これは、銀行預金と借入金の関係と同じです。
 民間の預金がある内は良くても、後々高齢化により取り崩されて行けば、その内、国債の消化はできなくなる、などということは無いのです。政府は安心してデフレを救うために長期計画を立て、それを予算化すれば良いのです。

政府による国家の長期計画が必要

建国記念の日(紀元節)を祝う集いでのご挨拶

 民間企業が銀行から借り入れをしないのは、バブル期の後遺症も原因の一つです。銀行の不良債権処理の際の貸し剥がしがトラウマになっているのです。その上、政府自身が日本の将来を、少子高齢化と債務超過で財政が行き詰っていると不安を煽っているのです。政府は財政再建のためにと財政出動を控えておきながら、民間企業にはアニマルスピリッツを発揮して投資をしろとは、虫のいい話です。
 民間企業に投資を勧めるのなら先ずは隗より始めよ、政府が長期計画を示し、それに従って予算計上をする必要があります。

預金超過が金融政策を無効化

 また、もう一つの事実は上場企業は殆ど無借金、中小企業も半数は預金残高の方が借入金残高より多い、事実上の無借金であるということです。この要因は、先に述べたように、バブル期のトラウマや先行き不安の外に、労働分配率(企業の儲けに締める人件費の割合)が20年以上に渡って低下していることに要因があります。
 預金超過ですから、日銀がいくら金融緩和しようが、銀行から借り入れをする必要がないのです。このことは金融政策が無効になっていることを意味します。

銀行は経営悪化

 一方で、銀行は事実上のゼロ金利にも拘らず、貸し出し額が増えません。そのため、利鞘(ざや)が稼げず、経営基盤は急速に悪化しています。最近、地方の銀行の経営統合の報道が相次いでいるのはこのことと関係しています。
 この状況下で、もしも大災害などの不慮の事態が発生すれば、間違いなく日本経済は大打撃を受けます。会社の倒産などが多発すれば、銀行は大量の不良債権を抱え込むことになります。銀行の倒産を防ぐため、日銀も政府も金融機関の支援をするでしょう。金融機関を助けるために融資も必要となります。しかし、本質的には金利の上昇を認める以外ありません。ところが、金融不況を救うためとは言え、不況時に金利を上げることは国民経済そのものを毀損することになります。日本は正にどちらにも進めない現状に陥ってしまうのです。このように、アベノミクスは最大の危機に直面しているのです。

銀行の与信機能の正常化が急務

 こうした事態を避けるためにも、金融政策に余力を残しておく必要があります。平時に銀行に体力を蓄えさせ、金融危機の際には金利を引き下げる余力を残しておくことが大切です。つまり、ゼロ金利政策から早く脱却する必要があるのです。そのためには、借り手の需要を増やして一日も早く金融システムを正常に戻す必要があります。

労働分配率の低下が最大の問題

白峯神宮での節分祭

 こうした状況に陥った最大の原因は、労働分配率低下による個人所得の減少とそれに伴い個人消費が減少したことです。これはバブル期の不良債権処理から始まっています。この時期、企業は次々とリストラを行いました。職員の人員整理は勿論のこと、正社員の非正規社員への置き換えや自社生産の外注化など、徹底的なコストカットが行われました。会社の生き残りのためには仕方なかったことかもしれません。しかし、それを一過性のものではなく、ビジネスモデルとしたことが、後に少子化という大きな社会問題を作ったのだと私は考えています。
 アベノミクス効果で、企業の業績は確実に改善し、景気は戦後最長の拡大期間を更新していると言われていますが、国民にはその実感がありません。その原因は、企業の業績拡大に比して勤労者の所得が増加していないという、まさに労働分配率の低下にあるのです。

法人税を増税し、子育て世代に分配すべし

 安倍総理が、毎年春闘の時期になると率先して経済界にベースアップを要求しているのは、このためなのです。その結果、ベースアップは着実に行われるようになりましたが、企業の業績に比べればまだまだです。コストカットのビジネスモデルを修正させるには、法人税を増税し、それを子ども手当として国民に給付すれば良いのです。これは実質的に給与アップと同じことになります。そうすれば、安心して子どもを生み育てることができるため、少子化に歯止めをかけられるはずです。
 また、上場企業に滞留している銀行預金を国民に分配することにより、個人消費は必ず伸びます。それが経済活動を拡大させるため、結果的に企業の利益も増えるのです。

信用創造の大本は希望である

 貨幣の大部分は銀行預金であり、その根源は銀行の貸付である。これは事実です。問題は借り手に借りようとする意思がなければ銀行は貸し出せないということです。借りようとする意思は未来に対する希望です。将来に対して希望があるからこそ、銀行からお金を借りてでも事業をしよう、投資をしようとするのです。
 今、日本にかけているのは将来に対する希望なのです。政治の使命は国民に日本の将来に対する希望を明確に示すことです。日本は財政破綻などしないのですから、政府が積極的に自信を持って将来に対する投資を行えば、それは必ず国民の希望につながります。
 戦争や貧困や災害などあらゆる危機から国民を救うのが国家の使命です。国債発行をしても財政破綻はありませんから、十分に予算をつけるべきなのです。それが国民に将来の希望と安心を与え、消費や投資が増え、日本全体が豊かになるのです。財政再建を理由に国民の危機を救わないという論法は、モラルとしてもありえないのです。

樋のひと雫
−アンデス有情−

羅生門の樋

 日本で桜の花が咲き乱れる頃,此処ボリビアでは街路樹は葉を落とし,晩秋の空気の中で街は冬の準備を始めます。もっとも,標高の高いラパスでは一日の内に四季があると云われ,朝はセータ,日中はTシャツ,日が落ちるとコートが必要になります。日本のように年間で四季を感じることは余り有りません。
 トランプ大統領の国境の壁建設で話題となったホンジュラスのキャラバンは,グァテマラからの参加もあり,依然メキシコ国境には滞留者が増え続けています。犯罪組織の興隆で平穏な市民生活が困難になるという状況は,日本から見れば信じ難いものでしょうが,こちらの人間にとっては「あゝ,そこまで,やはり‥‥。」というのが正直な感想です。
 20年近く前に,初めて首都のテグシガルパを訪れた時に,30mほど離れたマクドナルドに行こうとホテルの玄関に立った際,「危険だから車で行ってくれ」とガードマンに制止されました。お陰で5日間の会議では,文字通りホテルに缶詰めになりました。それから所用で何度も訪れましたが,街の喫茶店やレストランの前には,必ずショットガンを持った警備員が2・3人は立っています。銃を持った人間をガラス越しに眺めながらのコーヒは,決して気の休まるものではありませんでした。昼間でも大通りを歩く人の姿は見られません。まるでゴーストタウンの様に息を潜めての生活は,私から見れば,異様の一言でした。知人も近頃は「あの国は終わった」と言っていましたが,妙に納得できる自分に驚きます。警察は有って無く,軍部ですらコントロール出来ない治安の悪化は,まさに亡国への坂道です。
 しかし,住み慣れた家を捨て,国を出られるキャラバンには,未だしも希望と夢が持てます。ベネズエラでは,為政者の怠慢と無策の中で,国を出ることが出来る人間は全て出たとも云われています。残された庶民の生活は,天文学的インフレの中で,今日の食事にもこと欠く困窮の極にあると伝えられています。この極度の食糧難の中でも,権力者と富裕層は高級レストランで米ドルを使い,多くの庶民はゴミ箱を漁っているとTVニュースが伝えたのが1ヶ月ほど前でした。
その後,西側のマスコミを追放したマドゥーロ政権ですが,南米で唯一の支持国であるボリビアには,政府の発表は伝わって来ます。未だに解決しない大規模な停電も,最初の頃は“米国のサイバーテロ”の所為にされました。5日前の新聞には,通信大臣が「大口径の狙撃銃によって攻撃され,ダムに大爆発をもたらした」と発表しています。漆黒の闇の原因が,「ITから人に変わった?」と思っていたら,先日の発表では,ロシアから百人の軍人と35トンの物資が派遣されたと報じていました。恐らく自国の軍部のクーデターを恐れた政権の保身策でしょうが,これも末期症状を呈した政権の疑心暗鬼の始まりとも見えます。
 米国による経済制裁とロシアによる軍介入と聞けば,何やら1960年代のキューバ危機を思い出します。しかし,ケネディやフルシチョフ,フィデル・カストロといった理想と現実を見据える眼を持った政治家ではなく,ディールだけの商売人と覇権主義者,己可愛さだけの独裁者に庶民の声を聴く力は有るのだろうかと思います。「国が(電力不足で)麻痺していて何も生産出来ない。どうして生きていけば‥。」という庶民の嘆きは,果たして彼らに届くのだろうか。虚しさだけが募るボリビアの晩秋です。

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