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第95号

2018年07月31日発行

今こそ命を守る知恵と予算が必要だ!
(平成30年7月豪雨災害の教訓)

参議院議員 西田昌司

平成最悪の豪雨災害


二之湯府連会長と由良川流域の被害状況の説明を受ける

 平成30年7月初旬、平成最悪の豪雨災害が西日本を襲いました。死者がすでに210人を超え、未だに行方不明の方が数十人おられます(7月17日現在)。京都府下でも5人の方が命をなくされたことを始め、土砂崩れや浸水等で府下各地域で 2,500を超える住宅被害も出ています。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げます。
 特に被害が大きかったのは、京都府の北部地域でした。私も、災害から一週間後に、同期の参議院議員、牧野たかお国交省副大臣に同行して、現地を視察してきました。自民党京都府連も会長の二之湯智参議院議員を本部長に災害対策本部を立ち上げ、現地を視察されました。牧野副大臣には、一日も早い復興のため予算をつけるよう、要請をいたしました。

避難所に行けない場合は、必ず二階に逃げる

 まず最初に、3人の死者が出た綾部市の災害現場に参りました。黙祷の後、国土交通省の職員や、山崎綾部市長などから災害報告を受けました。お亡くなりになられたのは、お年寄りのご夫婦です。当時、近所の公民館が避難所として指定されていましたが、深夜では、とてもお年寄りだけで向かうわけにはいきません。避難所に行くべきかどうか、逡巡している最中に土砂崩れが襲ったのです。また、その隣のお家も崩壊し、お一人がお亡くなりになりました。しかし、2階で寝ておられた方は救助されています。1階と2階の差が生死を分けたのです。
 ご夫婦が住まわれていたお家は、藁葺き屋根にトタンが葺かれた丹波や丹後の山村ではよくあるお家です。通常藁葺きの家には、2階はありませんが、大きな屋根裏があり、納戸として使われています。大屋根は壊れていませんでしたから、せめて大屋根の裏にでも避難されていれば命は助かったと思われます。
 これからも今回のような大雨が降る可能性は否定できません。この災害を教訓に、是非とも裏山等のある地域の方は大雨の際には、早めに避難所に行くべきです。しかし、真夜中の避難は事故の恐れがあり危険です。その時は、必ず、二階や屋根裏などの高い場所に避難(垂直避難)して下さい。垂直避難が命の分かれ目になります。

山地河川 由良川の宿命


牧野副大臣・本田衆議院議員と国道27号土砂崩落現場の被害状況の説明を受ける

 今回大きな被害が出たのは、京都では北部地域です。この地域では、ここ最近豪雨災害が相次いで起こっています。特に、北部の中心河川である由良川流域では、太古の昔から水害が絶えませんでした。
 山地河川では、山間の谷底に土砂が溜まってその周りに僅かな平野部分が存在します。谷が埋まってできた平野の上に、人が住んでいるということです。谷間を流れているため、もともと堤防がありません。由良川の場合、山地河川という地形を考えると、河川の流域の中で人々は生活しているということになります。
 由良川の場合、下流部は、狭隘な地形で平地が狭く、連続堤防を築くと土地利用に大きな影響を与え、人が住む場所がなくなってしまいます。そこで、昭和57年の台風10号規模の降雨で浸水する恐れのある地区を対象に、輪中堤を築堤したり宅地の嵩上げ等の水防災対策が実施されてきました。
 輪中堤と言うのは、集落全体を堤防で囲い込む堤防です。住宅がある程度集まっている地域にむいています。嵩上げは、文字通り、地盤を上げることで、住宅をジャッキなどで垂直移動させ、その下に基礎を築くことになります。集落から離れたところにある家屋にむいています。

平成32年度の完成目指して

 現地に視察に行きまして、地元の市長さん達からも被害の状況と災害復旧に対する要望をお聞きしました。福知山、綾部、舞鶴の各地域では、ここ数年、毎年のように浸水被害が出ることに対して、住民の方からも苛立ちの声が上がっていました。
 こうしたことから、由良川の築堤工事が急ピッチで進められています。平成32年度には、輪中堤も含め完成する予定です。ここ数年の浸水被害を契機に、インフラ整備も進み、被害を抑えることができた地域も沢山あります。しかし、一方で、すでに輪中堤が完成した地域でも、山側から流れてきた中小河川の排水ができず、いわゆる内水の浸水で被害が出ている地域がありました。こうした被害をなくすためには、輪中堤から由良川に排水する排水機場の設置やポンプ車の設置が必要です。しかし、由良川の水位が上昇すると、内水の排水により下流の洪水を招くことになり、排水ができない場合もあります。内水の排水を適切に行うためには、結局、上流でダムを作り水量を調整する以外ありません。上流には、大野ダムがありますが、この貯水量を増やす方法を考えなくてはなりません。やはり、ダムが洪水対策の切り札なのです。

防災インフラなしでは都市化できない

 また、先述した様に、由良川は山地河川です。丹波から丹後の山間部を流れ、中流から下流域では平地ができていますが、それは氾濫原ですから、流域全体が河川域の中なのです。常に洪水の危険があり、太古から氾濫を繰り返してきました。しかし、そのおかげで肥沃な平野ができ、作物などもよく採れたのです。かつては、住宅地は山側の高台にあったのですが、都市化のため平地にも住宅が建てられ、浸水の常習地になってしまったのです。
 日本は国土の7割が山岳地帯で、平野部のほとんどは河川の氾濫によってできた氾濫原です。平野部には都市が開発されていますが、それら元々は河川域の中だったのです。最近の大雨は異常気象とも言えますが、その氾濫原を都市化している以上、洪水は宿命とも言えます。むしろ都市化したからには、洪水対策のためのインフラ整備が不可欠なのです。
 河川域住宅を作らせなかったら洪水被害はなかった、と言う人がいます。しかし、人口減少時代に突入したとは言え、1億2,000万を超える人口を、河川域以外で生活させることは、事実上不可能です。土地の利用制限などの検討が必要なことも事実ですが、洪水被害から住民を守るためには、インフラを迅速に整備することこそ必要なのです。ところが、バブル崩壊以後は、そうしたインフラ整備を悪とする世論が世間を席巻しました。

「公共事業はムダ」が整備を遅らせた

 バブル崩壊後、民間企業は経営再建のため経費削減に励んでいました。バブル時代の贅沢三昧の反省もあり「清貧の思想」も流行りました。こうした時代背景の中で、行政においてもムダを削減する改革をすべきだと、声高に叫ばれるようになりました。また、政府の予算の無駄遣いを排していけば財政再建にもつながる筈と、特に公共事業予算は無駄の象徴のように言われ、削減され続けました。その極めつけは、民主党政権時代の「事業仕分け」でしょう。政府の役人を前に並べて、徹底的に予算の無駄遣いをチェックする姿が、政権交代の象徴として連日テレビに放映されていました。
 群馬県の八ッ場ダムは、こうした騒動に巻き込まれた典型例です。首都圏を洪水や渇水から守るために計画されてきたものが、民主党政権になり、工事全体の7割が完成していたにもかかわらず工事は中止されてしったのです。ダムは環境破壊や無駄な公共事業の典型で、植林など緑のダムを作れば環境にも優しく費用も安く済む筈だという発想の「脱ダム宣言」によるものでした。
 しかし、それを科学的に裏付けるデータも無かったのが実態です。そのため、流域の自治体から工事中止を批判する多くの抗議を受け、訴訟沙汰にもなってしまいました。こうした混乱の中、工事中止が妥当か再調査をせざるを得なくなりました。結果は、ダム建設の有効性が認められ、工事が再開されることになりました。結局、3年間の工事延長とそれに伴う工事代が嵩むだけだったのです。

防災のために必要なものは全てやる


竹下亘総務会長ほか、自民党本部役員と京都府中部医療総合センターを視察

 今回の豪雨では、山陰線が運休となり、京都縦貫道も通行止めになったため、京都中部医療総合センターに、医師や看護師などが出勤できないという事態も生じました。幸い、このことにより医療に支障が生じることはありませんでした。しかし、災害拠点病院であるだけに、将来に不安を残しました。
 こうした事態を重視して、自民党の災害対策本部から、竹下亘総務会長らもこの病院を視察しました。私の方からは「高速道路は一般道より高規格の筈、大雨だからと一律に通行止めにするのではなく、災害対策や医療関係者は通行できるよう弾力的にルールを考えるべきだ」と申し上げ、竹下総務会長からは「同感だ、党で議論し、政府と検討する」と返答がありました。
 また、亀岡始め南丹や京丹波では、大雨のため縦貫道だけでなく国道も通行止めとなったため、一時孤立してしまいました。桂川亀岡市長からは、「防災のためにも京都と結ぶダブルルートの建設を」と要望がありました。私の方からは「ダブルルートは北陸新幹線を亀岡ルートから京都ルートに変更した際の亀岡との約束。防災の上からもトンネルで京都と結ぶべき」と補足の説明をしておきました。竹下総務会長からは「政府与党あげて一日も早い災害復旧のため全力を尽くす」と約束していただきました。
 今回の豪雨災害は、京都だけでなく、西日本全域に大きな被害をもたらしました。これを教訓に、二度とこうした災害が起こらない様に知恵と予算を出さねばなりません。安倍総理も「できる事は全てやる、お金のことは心配するな」と話しておられます。一日も早い復旧と防災インフラの整備は政治の責任です。私も全力でその使命を果たしていきたいと思います。

瓦の独り言
−やっぱり言いたい!今のきもの−


羅生門の瓦

 暑中お見舞い申し上げます。蒸し暑い京都の町で、暑苦しい話で失礼します。
 京都の観光地である東山界隈や市内の繁華街では『きもの』を着た女性をよく見かけます。しかし、この『きもの』の多くはポリエステルでインクジェット加工や派手な捺染加工をしたものです。レンタル着物の色柄については『きもの』文化を語る京都人からはおおよそかけ離れた商品です。このレンタル着物着用している女性の大半は海外の方で、『きもの』を着て京都市内を散策し、写真を撮ってSNSに投稿しています。いわばコスプレ感覚でレンタル着物を着用しています。これは、これでいいのでしょうが、海外の国賓が来られた時に「あれが日本古来の伝統工芸品である『きもの』ですか?と質問を受けたときに、瓦は「ノー」としか言えませんでした。
 正絹の『きもの』は価格、メンテナンスの問題で敬遠され、ポリエステルの『きもの』が業界に投入されて40年近くたちますが、爆発的なヒット商品になっていません。価格、風合い的には問題のない商品もあるのですが、京都人には『きもの』とはみなしてもらえません。瓦の家内もポリエステルの『きもの』は認めてくれず、和ダンスには入れてもらえません(?)
 このようなときにポリエステルのレンタル着物が登場し、『きもの』文化を語る人々の間でホットな戦いが行われています。業界の関係者の中には「『きものブーム』の起爆剤になれば」「いきなり絹ではなく、ポリエステルで練習してからホンマ物にたどり着く」「車を運転する初心者に、いきなりクラウンではなく、カローラ(?)から始めては」といった意見が出ています。しかし、今回のレンタル着物に代表されるポリエステル・インクジェットの『きもの』は、単なるコスプレ感覚と見過ごすわけにはいかないような気がします。日本人として『きもの』へのあこがれ、民族衣装としてのアイデンティティ。『きもの』の中には日本人ならではの文化が凝縮されています。また、『きもの』における染織技術は世界のどこにもない誇るべき技術です。
 「利休道歌」の中に、「規矩作法守り尽くして破るとも離るるとても本を忘れるな」という「守・破・離」という一文があります。今のレンタル着物はいきなり「離」になっているのではないでしょうか。「守」である基本、すなわち「きもの文化」を正しく学ぶ、そして理解して今様の『きもの』に至るのであれば・・・と瓦は思っています。

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