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第2号

1995年01月01日発行

謹 賀 新 年

京都府議会議員西田昌司

 昨年一年間日本中が「政治改革」という言葉で終始しましたが、今年は「規制緩和」という言葉がこれに取って代わりそうな気配です。しかし、今回の規制緩和論では、庶民の暮らしという基本的な問題には一向に触れられず、大企業は勿論、中小企業や消費者も含め、ありとあらゆる立場の人々が自分達もその受益者になれるという幻想の中で、諸手を挙げて賛成をされている様に思えてなりません。本当にそうなのでしょうか。

 たとえば、規制緩和の例として、大店舗法の改正があげられます。この南区にもダイエーやジャスコなとの出店が計画されています。確かに、これらのスーパーが出来ると、様々の品物が、安くて便利に買うことが出来るかも知れません。しかし、一方で、今までの既存の商店は間違いなく打撃を受けることになるでしょう。「これも、自由競争の世界では仕方がない」かも知れません。しかし、今まで自分達の近所にあったお店が無くなってしまうと、身の回りの買い物が不便になるだけでなく、街の様子も一変してしまうことになります。とりわけ対面販売という人と人とのコミニケーションを媒介として成り立っていた小売店への打撃は地域社会の在り様にも大きな変化を与えることになります。また、廃業に追い込まれに方の生活の保障は、税金で手当するということになるでしょう。

 このように考えるとスーパーの進出は、一見物価は安くなり、街も活性化したように見えても、そのマイナス面も決して忘れてはなりません。そもそも、一番利益を受けるはずのスーパーでさえ、今までの大店舗法によって守られていた訳で、今後競争が激化すれば、アメリカの例を見るまでもなく、大手2、3社しか生き残れなくなるでしょう。

 弱肉強食と言われる動物の社会でも、共に生きていく一つのルールがあります。ライオンだって満腹の時にはシマウマをむやみにおそうことはしません。自然社会では弱肉強食と同時に共生というルールが一体となって秩序が保たれているのです。同じ様に、経済が発展し成熟した社会では、大企業や強者の論理だけではなく、中小の企業や資本力が弱い企業とも、いかに共生していくかということを考えなければ、経済的にも社会的にもバランスを欠いた、一部の者の為の社会になるのではないでしょうか。

今論じなければならないのは、単なる規制緩和ではなく、我々が目指すバランスのとれた社会には、「どの様な新しいルールが必要なのか」ということではないでしょうか。アメリカのように歴史が浅く、今も新しい移民を受け入れている国では、何よりも自由競争(規制緩和)こそが「公正」の第一条件になることは分かります。しかし、これが国の成り立ちや、歴史も違う日本でも絶対に正しいという考えには疑問を感ぜずにはおれません。今回の規制緩和論も元を質せば、あの小沢さんの言うアメリカのような「普通の国」に成ろうということが始まりでした。しかし、世界をじっくり見回してみると、アメリカのような歴史と文化を持った国が決して、世界の基準となるべき「普通の国」とも思えません。我々は、規制緩和の大合唱を唱える前に、一体どんな国や社会を目指すのか、もっと徹底的に論議すべきではないでしょうか。

 本年もまた、私の信ずる「政論」を皆様方にSHOW YOU(しょうゆう お伝えしたい)と思います。本年も宜しくお願いいたします。

京都府議会議員

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