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第91号

2017年07月01日発行

テロ等準備罪と戦後の偽善

参議院議員西田昌司

何故、テロ等準備罪の創設が必要なのか

参議院本会議にて組織的犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪)の中間報告に賛成討論

 今国会の最重要法案であったテロ等準備罪を創設する法案は、参議院でも無事可決成立することができました。私は参議院法務委員会の筆頭理事を務めており、事実上この法案の与党側の責任者でしたから、無事成立したことに心から安堵しています。
 この法律が提案された背景には、ご存じの様に世界中でテロが頻発するなど、国際的な治安の悪化があります。日本も2020年に東京オリンピック・パラリンピックが計画されていますが、1972年のミュンヘンオリンピックではテロが起きました。国内でも1974年の三菱重工爆破事件や1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件などでは、多くの犠牲者が出ました。
 こうした事態に備えるために、TOC条約(国際的組織犯罪防止条約)を締結し、各国の組織的犯罪情報を共有する必要があります。国連加盟国196カ国の内187の国と地域が加盟しています。このTOC条約を締結するためには、条約が求めている義務(重大犯罪の実行の合意の犯罪化)を履行するための国内法の整備が不可欠です。 今回のテロ等準備罪の新設はそのためのものです。
 野党はこの法律を廃案にすべきものとしていましたが、その理由はおおよそ次の3点に絞れます。一つは、この法律は国民の内心を縛るもので、戦前の治安維持法に通ずる悪法だとするもの。二つには、組織に属するなら民間人でも捜査や処罰の対象になるというもの。三つ目に、国連人権理事会特別報告者が、国民の人権を侵害する悪法と非難しているというものです。この理由が全く的外れであることを以下に一つずつ解説します。

戦前の治安維持法とは全く違う

 戦前の日本では治安維持法があり、国体(天皇制)や私有財産制を否定するものに対しては、特別高等警察がその取締りを行い、時に厳しい拷問をし、容疑者を死に追いやったと言われています。プロレタリア作家の小林多喜二もその一人です。現代の常識でこれだけを見れば、とんでもない人権弾圧事件となるでしょう。しかし、そもそも、この法律の背景にはロシア革命があります。これによりソビエト連邦が成立し、こうした革命思想が世界中に広まりつつあったのです。自分達の正義のためには暴力革命も認めるという思想は世界中を混乱に陥れました。
現代では暴力革命を認めるという人は日本ではほとんどいないでしょう。また、共産主義を支持する人でも暴力革命を支持することはないでしょう。しかし、当時は、極端な貧困と格差、そして、戦争により、本当にそれを目指していた勢力が存在し、蔓延していたのです。
 あの時代の治安維持法の是非は、こうした時代背景の中、総合的な歴史の判断にゆだねられていたのです。
 従って、少なくとも現代の日本にはそぐわないものであるのはいうまでもありません。そもそも、今回のテロ等準備罪が治安維持法とはその立法趣旨が全く異なっているのです。前者が組織的犯罪集団による重大犯罪を取り締まるものであるのに対し、後者は「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者」を取り締まるものです。何れにしても一般人には全く無関係のものなのです。

一般国民を守るためのものであり、取り締るものではない

参議院法務委員会での「テロ等準備罪」審議の様子

 テロ等準備罪では、一般の方々は処罰対象になりません。 (1)犯罪主体をテロ集団、麻薬密売組織などの組織的犯罪集団に限定し、さらに、(2)重大犯罪の計画、そして(3)犯罪の実行準備行為があって初めて、処罰対象となります。
 この様に法律の対象となる団体が「組織的犯罪集団」に限られているので、労働組合やNPOなど正当な活動をする団体が処罰の対象となることはありません。もちろん、居酒屋で「上司を殴ると意気投合」しても処罰されませんし、一般のメールやSNS上のやり取りで処罰されることもあり得ません。
 しかし、正当な活動をしている団体の目的が「一変」して「組織的犯罪集団」になることがあるとの指摘があります。これは、例えば普通の宗教団体がオウム真理教のように重大なテロを起こすような団体に変わることもあり得ることを念頭に置いたものですが、「組織的犯罪集団」に当たるかどうかは、その団体が設立時に正当な団体であったかどうかではなく、テロ等準備罪の適用時点において、犯罪を目的とする集団になっているかどうかで決まります。
 また、たとえその場合でも宗教団体の中で組織的犯罪集団化したグループが処罰の対象になるのであって、一般の信者全てではありません。このことからも犯罪に関係しない人、いわゆる一般人が取締りの対象になることはあり得ません。

国連人権理事会特別報告者の批判は事実誤認

 国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が、テロ等準備罪の創設に対し、同法案が「プライバシーと表現の自由の権利に対する過度の制限につながる可能性がある」という懸念を指摘したということが報道されました。これを受けて、民進党や共産党などは、国連もテロ等準備罪に懸念を表明していると騒いでいますが、これは事実誤認です。
 先ず、この指摘は国連ではなくケナタッチ氏の個人的見解です。しかも、ケナタッチ氏が批判しているテロ等準備罪の資料は実際の法案とは全く違うものです。NGO(非政府組織)が英訳したもので判断した様ですが、そのNGOが何者でどの様な英訳だったのか、全く不明です。日本政府に情報を求めず、一方的かつ断片的な情報だけを頼りに批判するのは国連の職務に携わる者としても公平性に欠けています。
 外務省は、こうしたことから「日本の国内事情や『テロ等準備罪』の内容を全く踏まえておらず,明らかにバランスを欠いており,不適切であると言わざるを得ない。現在我が国で行われている議論の内容について,公開書簡ではなく,直接説明する機会を得られてしかるべきであり,貴特別報告者が我が国の説明も聞かずに一方的に本件公開書簡を発出したことに,我が国として強く抗議する」としています。
いずれにしても、国会で審議している法案が何者かにより英訳され、それに対し一方的に批判をしている訳ですから、その背後にかなり政治的な意図があると思わざるを得ません。

民進・共産の一体化

 以上の様に、民進党や共産党の反対は「反対のための反対」であり、その目的は民進党と共産党(民共)協力をして、打倒安倍政権の政治勢力を拡大することです。
 「アベ政治を許さない」という言葉をスローガンに、この数年多くの政治運動が展開されています。平成25年の特定秘密保護法、平成27年の平和安全法制の時もいわゆる市民団体を巻き込んだ形で反対運動が展開されました。国会の周りにも連日鳴り物入りの抗議行動が行われました。それは今回の反対運動とも共通します。民共が一体となって一部のマスコミも巻き込みながら「アベ政治を許さない」をスローガンに活動する目的は、安倍総理の『戦後レジームからの脱却』を阻止するためです。

戦後レジームからの脱却とは何か

お茶の京都博「宇治新茶・八十八夜茶摘みの集い」

 安倍総理は、憲法改正を最大の政治課題としてきました。これは、自衛隊と9条との矛盾の解消を始め、敗戦後の占領時代に作られた様々な制度や価値観をもう一度見直そうとするものです。占領時代の遺物を見直し独立国家に相応しい体制を作ることは当たり前のことです。
 ところが、これに真っ向から反対をしているのが「アベ政治を許さない」という勢力です。彼らは、戦前の日本を全否定し、戦後の歴史観や価値観を肯定します。つまり、占領中にGHQにより作られた歴史観や価値観を何の疑問もなく受け入れています。この姿勢は独立国家としてはあまりに情け無いことです。

TPOにより変わる判断

 私は、大東亜戦争を全て正しいとは思いません。他に選択肢が無かったのかも含め、異議を唱える所も多々あります。しかし、逆に戦勝国たる連合国が全て正しいのかといえばこれも否でしょう。欧米の帝国主義に対して断固異議を唱えていたのが日本であったのです。しかし、その日本が、自国の防衛のため結果的には帝国主義的な行動に出ざるを得なかったことも事実です。台湾割譲、日韓併合、満州国の建国などは今の価値観からはとても納得できないものでしょう。しかし、当時の世界の中では果たしてどうか。こうしたことを考えるのが歴史を学ぶことです。物事を判断するには全てTPO、つまり、その時、その場所、その状況が具体的に示された中で、考えるしかないということです。
 TPOにより価値判断は変わり、人の行動は変わるものなのです。先の大戦も当時の世界情勢とセットで評価をすべきです。
 しかし、GHQの占領時代にはそうしたことが全く配慮されず、一方的に日本の行動が断罪されました。その象徴が東京裁判です。そして、その東京裁判史観に基づき、占領政策が正当化されていったのです。
 これは、言論の自由が無かった占領中には仕方ないことです。しかし、占領が終わり、独立してからは、せめて歴史の検証をすべきだったのです。しかし、日本は独立後、一度もその検証することなく占領政策を継続してきたのです。

安倍総理は真の独立国家を目指すべき

 「アベ政治を許さない」という勢力は、こうしたGHQの占領政策を基本的に是とする人達です。戦後の価値の継承者ともいえます。これに対し、安倍総理が掲げた『戦後レジームからの脱却』は正に、それを乗り越え独立国家としての日本人の価値を取り戻すことを目指すものです。
 今回のテロ等準備罪を始め、大きな対立をもたらした安倍内閣の一連の政策は独立国家としては当然のものです。しかし、占領時代の政策を是とする立場からはアベ政治は明らかに逸脱しています。確かに、占領中は一見すると民主化が進められた様にも思えますが、国防の義務も無かった代わりに国民には主権など無かったのです。只々、GHQの命令を受け入れるしか無かったのです。それを平和主義と言うにはあまりに情け無いでしょう。
 安倍総理の言う『戦後レジームからの脱却』は正にこうした占領政策からの脱却だと私は解釈しています。

憲法改正への道

 安倍総理は憲法改正を最大の政治課題に掲げておられます。特に、9条と自衛隊の矛盾をなくすために自衛隊を憲法上明記すると言われています。私も勿論賛成です。しかし、もっと重要な問題は、戦後72年の間に日本人が歴史観を喪失してしまったことです。戦争の悲劇は語り継がれましたが、占領時代の矛盾と悲惨さは殆ど伝えられていません。それを何の疑問もなく是とするなら、アベ政治は許されないかも知れません。 しかし、もう少し、歴史をしっかり見つめるなら、占領政策に異を唱えないことの方が異常だと気付くはずです。 
 皆さんのご良識を信じます。

瓦の独り言
−老舗(しにせ)−


羅生門の瓦

 京都新聞の朝刊に「京都ぎらい」でベストセラー作家(?)になった井上章一氏が「現代洛中洛外もよう」を連載されています。今は地理的な内容ですが、いずれは「老舗」についても触れられるのではないかと思います。その前に瓦がつぶやかせていただきます。
 瓦は昨年、とあるセミナー@で京都流(?)の「老舗」について語りました。
 他都市の商工会議所さんなどでは「創業100年、三代、同業で継続、現在も盛業」の4条件を挙げられますが、京都では創業は200年以上か、又は江戸時代以前が老舗と名乗れます。だって、創業500年以上の企業が京都市には多数あります。明治時代の創業100年なんて「ひよっこ」みたいなものです。と、言ってしまいました。すると、セミナー終了後、次のような質問を受けて、「いらんことを言いすぎた!」と後悔しました。
 「Yタクシー会社ですけれど、来年に創業100周年を予定してるんですが、パーティ−などをすれば京雀に笑われますかね?」といった質問でした。
 Yタクシー会社さんの創業者・粂田幸次郎氏は、1916年に京阪伏見桃山〜明治天皇御陵間に路線バスを走らせ、1917年に「日光社(フォードの輸入代理店)A」を創業されています。そこからハイヤー事業部を立ち上げられ、今のYタクシー会社あると聞き及んでおります。 
 慌てて、「いえいえ、自動車運送業自体の歴史が浅いので創業100年で十分です。ましてや今年(2016年度)の祇園祭に御稚児さんを出されるおうちですので・・・」としどろもどろにお答えしました。
 その後、Yタクシーの後ろには「おかげさまでD百貨店創業300周年・Yタクシー会社100周年」を意図した広告が出ていました。これを見たとき、「さすが京都人!うまいこと宣伝したはる。」と思いました。
 とある京都人は「老舗は自らつけるものではなく、世間からいただく称号」とおっしゃっておられます。非常にうんちくのある言葉だと思います。
 さて、井上章一氏は老舗をどの様にとらえておられるのか? 「洛中のものだけが「老舗」を語るのはおかしい!」と反論されるのか? 瓦は楽しみにしています

*「とあるセミナー@」:Yタクシー会社の運転手さんをはじめ、会社の方々に「京都の伝統産業」と銘打って、京都伝統産業ふれあい館の宣伝をしたセミナーです。
*「日光社(フォードの輸入代理店)A」:我々、南区民にはおなじみの九条車庫向かいの日光社さんです。

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