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第56号

2008年10月20日発行

太郎か一郎か
―衆議院総選挙の焦点―

参議院議員西田昌司

麻生総理誕生が意味すること

福田総理の辞任を受けて自民党総裁選挙が行われ、圧倒的多数で麻生総理が誕生しました。それは、長らく続いてきた構造改革路線に決別を告げるものです。私は、これまでも構造改革路線の不合理を一貫して訴え、断固反対をしてきました。その理由は、構造改革とは競争によりすべてのことは解決出来るという前提に立っており、競争を妨げるものはすべて排除すべきだという非常に画一的で乱暴な考え方であったからです。これでは社会が疲弊するのは当然の帰結です。麻生総理はこうした考えとは一線を画す方であると確信をしています。事実、当時小泉総理との間で行われた総裁選でも構造改革に対しては懐疑的な態度をとっておられました。構造改革の背景には、バブル崩壊による日本経済の危機的状況があり、何らかの手を打たねばならなかったのは事実です。しかし、この時、何故バブルが発生し崩壊したのかということについて、十分議論がされたでしょうか。いわゆる不動産業者や一部の金融機関の責任ばかりが追求されただけで、十分な議論のないまま、結論だけは、最初から日本をアメリカ型の競争社会に変えるということがマスコミ世論により決められていました。結局、与野党が議論したのは、その改革のスピードを競うことでしかなかったのではないでしょうか。

何故バブルが発生し、崩壊したのか

そもそも、バブルの発生から崩壊、そしてその後の構造改革という、平成日本の諸問題の背景にあるのは、この国の形をどうするのかという根本的な議論がないままに、アメリカの要求に応じ、また自ら進んで、アメリカ型社会に追随してきたということです。勿論、その責任の第一は政治家にあり、とりわけ与党である自民党の責任は極めて大きいと言えます。しかし、同時に野党やマスコミもその責任を免れるものではありません。バブル発生の背景には、1985年のプラザ合意がありました。これは、先進各国がドル安を是認し、アメリカ経済を救済しようとするものです。その結果、対米輸出に依存していた日本は円高不況に陥りました。その一方で、内需主導型の社会を作るために、10年間で430兆円の公共事業投資をするということが対米公約され、極端な金融緩和策がとられました。急激な国内投資の増加と金融緩和政策により、景気は急速に回復しました。それどころか、実体を上回る程にまで過熱してしまいました。それがバブルです。土地を持っている者は、値上がり益で大儲けするということが常態化し、日本中の土地が買い漁られました。また、持たざるものとの間に大きな格差が生じ、激しい嫉みや恨みの感情が沸き起こってきたのです。その結果、バブルを退治するとして、金融の蛇口を根本から止めるという乱暴な政策がとられ、一挙にバブルは崩壊しました。これは余りにも冷静さを欠いた政策でしたが、当時の国民は皆これに拍手喝采をしたのです。しかし、その結果残ったのは百兆円にも上る、不良債権の山でした。日本全体が大不況に陥ってしまったのです。銀行や証券会社も倒産の危機に瀕し、当時13行あった都市銀行も、整理統合され今や3行しかありません。象徴的なことは山一証券の経営破綻です。しかし、それを買収したメリルリンチが、今回のアメリカの金融危機でまた別の会社に買収されるとは何とも皮肉なことです。また当時、金融危機を乗り越えるために公的資金の導入が行われました。あの当時これに大反対をしていたのが小沢さん率いる新進党です。しかし、もし、あの時、公的資金導入がなければ、日本発の金融大恐慌が起っていたに違いありません。

構造改革の始まり

この時期の日本を振り返って、失われた10年と言われてきましたが、一方アメリカは、そんな日本を尻目に経済の大復活を遂げていました。かつて世界の工場と呼ばれていた製造業中心の国から、インターネットなどのIT産業や金融産業へと産業形態は様変わりしていきました。そこで、日本でもそれにあやかろうとする声が上がってきました。これが構造改革派です。アメリカのように日本も製造業にしがみつかず、産業構造を変えるべきだ。そのためには、今までの護送船団式といわれた業界と一体となった行政を廃し、規制の緩和や、撤廃をすべきだ。その競争に勝ち残らなければ世界には通用しないのだ。アメリカを見よ、とばかりに規制緩和、市場原理主義者のオンパレードとなったのです。その頂点に立ったのが、小泉元総理でしょう。

小泉元総理と小沢民主党は同根である

もっとも、小泉元総理は郵政民営化と自民党をぶっ潰すということばかりを叫ばれただけで、実際の改革を取り仕切ったのは竹中平蔵氏です。この人はアメリカ型の経済の仕組み、つまり市場原理を社会のあらゆる状況で適用しようとしました。しかし、福祉や医療から地方自治に至るまで、社会のすべてに市場原理主義を導入することは最初から無理があるのです。市場原理主義というのは言い換えれば、人のつながりを無視して損か得かで判断するということです。しがらみを捨て、目先の損得だけで判断することは、短期的には効率が良いかも知れません。しかし、そんなことを繰り返しておれば、人間関係は破壊され、社会の基盤を壊すことになってしまいます。結局、長期的には理に適うものではありません。今日、日本が陥っている地域間の格差や先行き不安などの様々な問題も、これが原因であることは間違いないでしょう。一方、それに対して生活が第一として構造改革路線を小沢民主党は反対しています。しかし、それは去年の参議院選挙あたりから急に路線変更したに過ぎません。事実、小沢さんは、かつてその著書「日本改造計画」の中で、アメリカを普通の国と呼び、それを国のモデルとして日本を改造しようと提言していたのです。小泉さん以上の親米主義者と言えるでしょう。そして、なによりも、かつては小泉さんと構造改革の早さを競争しようではないかと、民主党自身が訴えていたのを忘れてはなりません。

脱グローバリズムこそ日本再生

このように、バブル崩壊以後の日本は、与野党問わずアメリカ型社会へまっしぐらに改革を繰り返してきたのです。その結果、人間にとって一番大切な家族や故郷が崩壊し、人々は拠り所を失い、先行きに対する不安に怯えているのです。そして、その本家であるアメリカではサブプライムローンの破綻から金融機関が次々と倒産し、その負の連鎖は世界中を覆い尽くそうとしています。このことは、グローバリズム、即ち、アメリカ型の経済の問題点を如実に表しています。改革騒動に明け暮れた多くの政治家やマスコミ諸兄には、こうした改革騒動がもたらした経緯と結果を真摯に見つめ、多いに反省してもらいたいと思います。そして二度とこうした失敗を繰り返さないためには、国民にしっかりとこの間の経緯を知っておいていただきたいのです。その上で、今我々がすべきことは、グローバリズムの呪縛から身を解き放ち、日本の国柄を取り戻すことです。それは自分たちの歴史を取り戻すことであり、故郷や家族を再生させることでもあります、その再生のための改革こそ必要なのです。

太郎か一郎か

総裁選挙が行われた際、私は、若手議員の有志と共に、以上のようなことをまとめた提言書を麻生総理始め全候補者に手渡しました。麻生総理には我々の意見に多いに賛同していただきました。そして、総裁選で麻生総理が圧勝したことにより、構造改革路線に自民党は一応の終止符を打つことが出来ました。対する民主党は、代表選も実施されませんでした。それは、政権を取るまでは、異論を封じ込め何もかも小沢さんに任せるという、およそ民主的とは言い難い不気味な姿です。特に最近の民主党は、年金は全て税金で賄い、高速道路は無料化、おまけにガソリン税は値下げするなど単純に見積もっても20兆円はかかる政策をマニフェストと称して掲げています。しかし、その財源は示しておりません。ある時は、無駄を省いたらできると言い、またある時は、埋蔵金を使えばいいと言い、明確に財源を示しておりません。これは非常に無責任な態度であります。来るべき衆議院の総選挙は、文字通り政権選択の選挙です。本当に小沢さん率いる民主党にこの国を任せることが出来るのでしょうか。この国の顔としてふさわしいのは麻生太郎なのか、小沢一郎なのか賢明なご判断をお願いします。

瓦の独り言
−ボリビア通信― 
羅城門の瓦

 お久しぶりです。これからボリビアは春を迎え、雨期の前の素晴らしいひと時を迎えます。 しかし、今年の春は人々にますますの昏迷をもたらそうとしています。 現在のボリビアは社会主義化政策を進める政府と自治の拡大を求める県とが二つに割れています。 モラーレス政権は先月の信任投票で6割以上の国民の支持があるとして、地下資源や外国企業の国有化を進めており、 また、憲法改正案では土地所有の制限を行おうと目論んでいます。(信任投票では自治拡大派の知事たちも7〜8割の支持を得ました。 まあ、国民はどちらにも信任を与えた格好です。)また、中南米だけを見ると中米やチリ、アルゼンチン、ヴェネズエラといった国々は反米を掲げ、 社会主義路線を選択する国は多くあります。我々にとって既に歴史が検証を行ったと思っていた「社会主義の誤謬」が、 ここ中南米の地では未だ「正義」であり「政治」なのだと感じます。 9月の半ば、サンタクルス・タリハ・ベニー・パンドの各県では自治拡大を求めたゼネストに端を発して、 政府支持派と自治拡大派の衝突が起こりました。パンド県では戒厳令が敷かれ一説に拠れば16名死亡・100名が負傷、行方不明者も100名以上とか。 また、政府はこの国内分断の背後にアメリカがいるとし、米大使の追放を決めました。このように書くと社会主義と自由主義の衝突のように聞こえますが、 ことはそんなに単純ではありません。背景を見ると、天然ガスや石油の配分の問題、白人を中心とする大土地所有の現状、 インディヘナ農民の対立、鉱山労働者を中心とした労働総同盟の先鋭化、為替レート差から来る物資不足や食糧高騰への都市住民の不満、 慢性的な失業者増大に対する若者の不安等々の問題が錯綜し、これに根強い郷党意識が加わります。 それに忘れてならないのは,「分配の不平等」です。日本の近畿地方ほどの広さを持つパンド県の土地は10家族で占有していると言われています。 また、意識の底に眠るインディヘナ蔑視の感情もあります(現大統領は初のインディヘナ出身)。 このような現象としての社会問題と人の心の底にある人種民族感情とが絡み合い、波打っているのが現状です。 また、どのような対立でも双方ともに「デモクラシア(民主主義)」を叫び、自身の正当性を語ります。 現政府は「脱植民地」を政策の根底においていますが、先住民には500年間奪われた土地と富を取り返すという気持ちにもさせます。 現実と理念の間で、未だ国有化政策以外に具体的な手を打てなかった政府が、今回の政治的緊張を経て、12月初旬に「憲法改正」の国民投票を行います。 ここでは土地所有の制限に代表される私有財産の問題に踏み込みます。 社会主義政権として装いを整えられるか、中南米諸国の左傾化の中での咲いたアダ花で終わるのか正念場が続きます。 これからボリビアは灼熱の政治の季節を迎えます。

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