去る6月20日に、昨年の臨時国会以来10ヶ月に及ぶ第169回通常国会が閉会致しました。昨年の参院選挙から、この一年間の国会の議論を私なりに振り返り、
皆様にお伝え (Showyou) したいと思います。
第55号
2008年07月20日発行
参議院議員
去る6月20日に、昨年の臨時国会以来10ヶ月に及ぶ第169回通常国会が閉会致しました。昨年の参院選挙から、この一年間の国会の議論を私なりに振り返り、
皆様にお伝え (Showyou) したいと思います。
元々、自衛隊の海外派遣は、民主党の小沢代表が自民党幹事長の時代に提案し、推進してきたものです。
当時は湾岸戦争の時代でした。日本が一番中東の石油に依存しながら、お金を出すだけで、汗をかくことを一切しなかったため、世界中からひんしゅくを買っていました。
このことを受け、当時の自民党幹事長だった小沢さんは、一国平和主義を批難して国際貢献の重要性を説き、成立したのが自衛隊の国際貢献活動です。その延長線にあるのがテロ特措法で、この法律が出来た時は、小沢さんも民主党も賛成していたはずです。ところが、小沢さんは突然、日本があまりにも対米追随に過ぎると、テロ特措法の延長に反対しだしたのです。そもそも対米追随外交を批判するなら、それと同時に自国の防衛力増強を訴えるべきです。自衛隊や防衛省批判ばかり繰り返す民主党には、防衛や外交といった国家の基本政策さえも政局の具でしかないということなのでしょう。
テロ特措法の期限が切れ、自衛隊は一旦インド洋より帰国しましたが、結局、衆議院での再可決によって再派遣されました。自衛官の志気が著しく低下したことは想像に難くありません。その期限がまた来年の1月に来ます。今度は民主党はどうするのでしょう。
この問題は前回のshowyouに書きました。既に福田内閣の下で一般財源化は決まりました。問題は、一般財源化しようにもガソリン税を値下げしては、その財源がないということです。
財源を示さず政策提言するのは絵に描いたもちを売るに等しく、政治家ではなく政治屋の振る舞いです。
あれだけ連日、マスコミが民主党のデラタメな発言ばかりを報道すれば、国民は誤解します。私の母でさえ、自民党は年寄りを見殺しにするのかと言った程です。
しかし、それまでの制度のまま放置すれば、小さな市町村の老人保険が破綻してしまうことは民主党も認めていたはずです。全国どこに住んでいても、誰もが医療を受けられる仕組みをどう守るのか。その為には、 5割を税金、4割を現役世代、1割を高齢者に負担していただくという大筋は、国民の皆さんにも納得していただけるものと思います。
このことについては、基本的に民主党も賛成をしていたはずなのです。もちろん、年金から直接天引きしたり、具体的に誰がどれだけ負担が減るのか、または増えるのかなど、きめ細かな説明や通知がなかったことは問題ですし、それは早急に改善しなければなりません。しかし、民主党のように全てを廃止してしまっては、元の木阿弥、保険制度が破綻するだけです。しかも、そんな無責任な法案を会期末に突然提出し、騒ぐだけ騒いで、結局、自らまともに審議すらせずに廃案にするというのは、自己矛盾も甚だしく、政党の体をもなしていません。
去年の参院選挙で民主党は、農家の所得補償、高校・大学の授業料の無償化、
満額の基礎年金(月額6.6万円)を全員に支給、高速道路の無料化などを訴えていました。それには総額16兆円近い予算が必要ですが、その財源については税金の無駄使いを止めれば出来ると言ってきたのです。
その上、今回のガソリン税騒動の際には、2.6兆円ものガソリン税引下げを主張しています。これらを合わせれば総額20兆円近い財源が必要ですが、それはどこに求めるのでしょう。無駄使いを無くすのはもちろん大切です。
しかし、国の予算が80兆円、そのうち税収が50兆円しかない現実の中、どうして20兆円もの財源が出て来るのでしょう。この無責任極まりないマニフェストには民主党の前代表でさえ、バラマキだと批判する始末です。その他にも民主党の政策のデタラメは数え上げたらきりがありません。
私のホームページの中で、民主党提出法案についてその矛盾をただす私の質問の様子を動画で配信していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
衆参ねじれ国会の下、民主党はあらゆることを政局の道具にしています。
その理由は、次の衆院選挙で勝てば衆参両院で第一党になり、政権をとることができるからです。残念ながら、その可能性も決して低いものではありません。
しかし、政権をとったとしても、彼らの政策を実現するには、膨大な増税をするか、大幅な赤字国債を出すかしか方法はありません。恐らく、政権をとった時点で民主党の中で路線が対立し、分裂する可能性が一番高いかも知れません。また一方で、自民党が政権を確保したとしても、現在のように衆議院の2/3の勢力を保持することは誰も想像し得ないでしょう。
ということは、今までのような衆議院での再可決は不可能になるということです。
民主党の提案をのまない限り、法案は成立できなくなるのです。
民主党もこの事実を重く受け止めるべきです。今までのように、衆議院で否決されることを前提にした無責任な法案の提出や、衆議院での再可決を前提にした参議院での審議拒否は厳に慎むべきです。
自民、民主ともお互いに歩みより、政局ではなく、真の政策論争をしなくてはなりません。
民主党の党首が元自民党幹事長であることに象徴されるように、元々民主党と自民党との間にあるのは、政策上の対立より権力奪取に向けての対立です。
実は、この背景には世界の大きな歴史の動きと密接な関係があるのです。
平成になり、東西冷戦がソ連崩壊をもって終結したことにより、アメリカ一国支配の世界が出来上がってしまいました。
同時に、日本国内においては、その影響を受け社会党が分裂し、崩壊しました。そして、それが今度は自民党の分裂をもたらしたのです。
自民党は、共産党や社会党のような教条主義ではなく、現実容認政党です。そのお陰で、党内に幅広い考えや人材を許容することができたのですが、逆に党内を統一し、まとめる思想が反共や反左翼以外、乏しかったのも事実です。冷戦終結によるソ連崩壊、国内における社会党の壊滅により、自民党内にはもはや統一の原理より、政権奪取の力学の方が強くなるのも自明の理です。
あの当時は、自民党の中でも多くの方が改革を叫んでおられました。しかしそれは結局、「改革」という錦の御旗を掲げてはいるものの、その内実は自民党内での権力闘争ではなかったでしょうか。それは民主党の小沢さんの姿そのものです。新党ブームで改革を叫んで自民党を飛び出した方々、社会党崩壊で行先を失した方々が中心となって民主党が誕生したことは周知の通りです。
郵政改革も含め、今の政界は冷戦崩壊後の政党解体騒動の後始末がまだ続いているということです。今必要なのは、こうした改革騒動に振り回されることではなく、問題の本質を説くことです。
アメリカが北朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除することにより、拉致問題が大きな影響を受けています。
国内では、経済制裁の緩和は認められないとする強硬派と、制裁だけでは解決できないとする友好推進派との対立ばかりが取り沙汰されています。しかし、問題の本質は違うのです。拉致問題は、主権侵害の問題として考えるべきものなのです。国家の使命は、国民の生命、財産、名誉を守ること、つまり国民の主権を守ることです。この当り前のことが、戦後日本においては忘れられているのです。拉致問題は、主権侵害そのものです。この問題は、自国の主権を守るためには何が必要なのかということを議論せずには解決できないのです。アメリカのテロ指定解除や、経済制裁の是非は言わば二の次の問題です。根本は、今の日本には国民の生命、財産、名誉を守ることができない状態にあることをどうするのかということです。当然、防衛力の整備を含め、国防そのものについての議論が必要になります。とりわけ、北朝鮮は、日本に向けミサイルを配備し、核兵器を用意しているのです。この状態から国民を守るには何が必要なのか、このことこそ議論すべきことです。国を守ることを忘れ、アメリカに依存した仕組みでは、国民は守れないし、拉致問題も解決できないことを改めて私達は思い知らねばなりません。そして、こうした状態から脱却することこそ、真の政治課題なのです。これからも、こうした真の政治問題を解決し、国民が皆、幸せに暮らせるよう、全力で頑張りますのでよろしくお願い申し上げます。
皆様には、日頃より温かいご芳情とご支援を賜り、誠に有り難うございます。過日の「自民党時局講演会」には会場一杯のお運びを頂きましたこと、後援会長として心より御礼申し上げます。 さて、この度の講演会は昌司議員が国会議員になって初めての大きな国政報告会とあって、どんな話をするのか非常に楽しみでありました。
たくさんの話がありましたが、とりわけ印象的だったのは、民主党との攻防の話です。昌司議員の真っ直ぐでブレない主張もさることながら、国会対策を熱っぽく語る姿に、私は、故 西田吉宏参議院議員を思い出さずにはいられませんでした。吉宏議員が参議院国会対策委員長だったころ、私に夜遅くまで国会のことを熱っぽく語る姿を思い出し、 国会記者会見 親子二代の国会での活躍に感激したのと同時に、二人をお支え頂いた皆様に改めて感謝いたしました。
見た目は全く違う親子ですが、国政に対する思いや京都を愛する心は誰にも負けない似たもの親子だと再認識しました。吉宏議員がご存命なら、昌司議員が京都に戻ってくるたび、今のねじれ国会のことで、西田家は毎晩大激論になっていることでしょう。昌司議員の国を憂う気持ちは、府議会議員のころよりよく存じておりますが、さらに深く大きな見識をもって頂き国政に邁進して頂きたいものです。私も後期高齢者一歩手前の中期高齢者ですが、皆様と共にこれからも西田昌司議員を支えていく所存でございますので、引き続き温かいご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。