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第44号

2005年07月15日発行

靖国問題の本質とは

京都府議会議員西田昌司

靖国参拝を反対する中・韓の主張

泉首相の靖国神社参拝が、外交上の大きな問題になっています。中韓の主張は、正に、先の大戦をどのように解釈するかという歴史観そのものを日本人に糺すものです。つまり、戦前の日本は、一部の軍人や政治家の妄動のため軍国主義に陥り、中韓をはじめとするアジアの国々を侵略し、多大な迷惑をかけた。東京裁判により誤った政治判断を行ったリーダー達は処刑された。また自身もその犠牲者であった日本国民は、二度とこのような悲劇を繰り返さないように心から反省した。このことを承諾して日本はサンフランシスコ講和条約を受け入れアメリカの占領は終わったはず。それならば当然、戦争の首謀者であるA級戦犯を祀っている靖国神社に、首相が参拝することは到底出来ないはずだ。というのが彼らの主張なのです。参拝するということは、東京裁判を否定することに他ならず、これは由々しき事態だと言うのです。

小泉首相の主張は?

これに対し日本側は何と答えているのでしょうか?中韓の言う歴史観に対しては、敢えて言及せず、と言うよりもそれは自明のこととして反省の言葉を繰り返すばかりです。そして、その上で国の為に亡くなった方に花をたむけるのは、日本人の伝統的精神であり、理解を賜りたいということのようです。つまり、靖国参拝は東京裁判を否定するものではないという態度であるのです。
 しかし、これでは中韓が納得しないのも無理はありません。日本人が本当に東京裁判を認めているのなら、その戦争の張本人であるA級戦犯達を現職の首相がお参りすること自体、自己矛盾するからです。本当に東京裁判が正しいのなら中韓の主張の方に分があると私も思います。

東京裁判とは何だったのか

 しかし、そもそも東京裁判が中韓両国の主張の根拠と成り得るような正当なものであったのでしょうか。戦勝国が敗戦国を裁き、勝てば官軍だということは世の常と言われますが、東京裁判も正にその類のものであったことは間違いありません。特に、A級戦犯にかけられた平和に対する罪などは、元々、国際法上も存在しなかったものを事後に創出したものです。事後法により処刑するなどというのは、裁判の名に到底値しないどころか、戦勝国のゴリ押しにしても、度が過ぎるというものです。そういう認識は当時から国際的にもあったはずです。しかし、当時の日本は、アメリカの占領下にあり、主権は制限され、言論も統制され、こうした暴挙に逆らうことが出来ない状況であったのです。
 日本は、東京裁判を受け入れたということをサンフランスコ条約で謳っているのだから、今更、東京裁判の不当性を訴えても国際的には通用しないと主張される方もおられます。確かに、一見すると法理論上はそのようにも思えます。しかし、この理論は肝腎なことを忘れています。法律は、道徳や正義という法律以前の根本的な価値観の上に成立しているということです。国際的な条約も同じことです。そこに道義のないものは、いくら形式上有効であっても、人々を納得させることは出来ないし、その心を縛ることも出来ない。その意味で無効であるのです。そういう法律や条約はたとえ形式的には有効に見えても、長い歴史の間に必ず無効になってしまうものなのです。何故なら、そこに道義がない為、多くの人々の心を時代を超えて縛ることが出来ないからです。
 維新前、当時鎖国していた日本は砲艦外交で開国を迫られました。外交上の無知につけ込まれ、関税自主権のない上、外国の治外法権を認めるという不平等条約を締結させられてしまいました。しかし、この不平等条約も先人の努力の結果、撤廃されたではありませんか。法律論争だけでは現実は何ひとつ解決できません。法律論以前に、そこに道義があるか、筋があるのかということを、冷静に考えることが必要なのです。そういう視点で東京裁判を見るとその不当性は自ら見えてくるはずです。

今後の課題

 しかし、だからといってあの戦争が全て正しかったと言うつもりもありません。ただ、東京裁判で示されたように、日本が一方的に侵略行為を行ってきた訳ではないという事実を私は申し上げたいのです。中韓両国は当然反発することでしょう。特に、中国共産党にとっては、反日、抗日の戦士ということに政権の正当性を求めているだけに、相当な反発が予想されます。しかし、そうした外圧をどう調整するかということが、本来外交であったはずです。南洲翁遺訓にも次のようなものがあります。「正道を踏み国を以て斃(たお)るるの精神なくば、外国交際は全かるべからず。彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に従順する時は、軽蔑を招き、好親却(かえ)って破れ、終(つい)に彼の制を受くるに至らん。」西郷の示したように外交には覚悟が必要なのです。覚悟のない外交は売国行為でしかない、ということを私たちは  肝に銘ずべきではないでしょうか。
 しかし、外交姿勢以上に私がもっと問題だと思うのは、そもそも日本人自身があの戦争と戦後社会に対して一度もまともに総括をしたことがないということです。毎年8月15日には慰霊祭が全国で行われ、戦争の悲惨さが語られ、非戦の誓いが述べられています。しかし、それだけでどうして子供たちにあの戦争は何だったのかということを伝えることが出来るでしょうか。どうして中韓の日本に対する一方的な非難に対して、覚悟を決めて外交をするという決意ができるのでしょう。
 靖国問題を語る上で一番大切なことはなにか。それは、国の歴史を次代に語り継ぐという、国としての一番の道義を亡くしてしまったことが、戦後のすべての問題の原因になっているということを国民が今一度認識するということではないでしょうか。

健康生活のために
医学博士
石上 文隆

日本人の平均寿命は81.9歳と世界一です。一方、平均寿命から病気や寝たきりの期間を差し引いて、平均何歳まで元気で暮らせるか正味の健康な期間を示したのが平均健康寿命でこれも日本は世界一で75歳となっています。しかし平均寿命と平均健康寿命の間に6.9年の差があります。つまり、平均6.9年間病気や寝たきりになっているといえます。
 PPKという言葉があります。これはピンピンコロリの略で、最後まで生き甲斐をもって元気に生きて、あまり寝込んだりせずにコロリと旅立つという意味です。これは、昔から多くの日本人が理想としてきた健康美学といえます。そのためには平均寿命と平均健康寿命との間の差をなくすことが大事で、予防医学の考え方が重要になります。これは今後、高齢社会においてより重要性を増していく考えです。
 今回は日本において寝たきりの最大の原因になっている脳卒中*をはじめとする心血管病の予防を中心に健康生活の要となる事項について挙げていきます。
 *脳卒中とは?脳出血(脳溢血)?脳梗塞(脳軟化症)?くも膜下出血 の総称で、中でも脳梗塞が70パーセント以上を占めている。脳卒中は心筋梗塞の3倍多く、最大の危険因子は高血圧である。

○高血圧。血圧は最も簡便に測定できる健康バロメーターです。高血圧は動脈硬化を促進し、また血圧上昇と平行して脳卒中・心疾患・腎臓病などの心血管病の死亡率が高くなります。血圧は朝高くなることが多く、朝の血圧測定が大事です。朝起床後1時間以内に安静に座って、上腕カフ型の血圧計でカフを心臓の高さにして測定するのが正しい血圧のはかり方です。家庭での血圧が135/85を超えた場合、高血圧とされますので医師に相談しましょう。

○糖尿病は動脈硬化を招き脳卒中の大危険因子であるのみならず、放置すると失明、腎不全、神経障害の原因になります。適切な治療が大事です。

○不整脈はある程度自覚可能です。脈が飛ぶ、乱れるということがあれば心電図等の検査が必要です。心房細動などの不整脈は血の固まり(血栓)を心臓につくりやすく、それが血管に乗って飛んでいくと脳梗塞や心筋梗塞を起こします。

○タバコは万病のもと。ぜひ禁煙しましょう。

○アルコールには利尿作用があり飲んだ以上の水分が尿となって出て行ってしまい結果的に脱水状態(血液ドロドロ)を引き起こし脳梗塞を起こしやすくします。ただし、少量の飲酒はむしろ脳梗塞を予防する効果があり、1日あたり0.5〜1合程度がいいという統計があります。

○睡眠中に脳梗塞の40%が起こるといわれます。就寝前コップ1〜2杯の水をもむことは脱水を予防し、脳梗塞の予防に役立ちます。

○高脂血症(高コレステロール、高中性脂肪)は動脈硬化を促進させ血栓を作りやすくします。食べ過ぎに注意し甘いお菓子果物ジュース類の摂りすぎに注意。肉、脂類の動物性脂肪を摂りすぎない。青魚を摂取する。などの食生活上の注意が大事です。

○お食事の塩分、脂肪を控えめに。高血圧には食塩の摂りすぎが大敵です。高血圧の人は食塩を1日10グラム以下にする必要があります。目安として、たくあん一切、奈良漬け2切はどちらも食塩約1グラムを含んでいます。
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○体力にあった運動をしましょう。

○太りすぎは万病の引き金になります。

○脳卒中起きたらすぐ病院へ。ろれつがまわらない、力が入らない、つまずきやすい、食べ物飲み物にむせやすい、急にめまいがするなどの症状はたとえ数分で症状がなくなっても大きな脳卒中発作の前触れであることが多いので注意が必要です。

まずは朝の血圧管理から初めて、日頃の生活習慣を見直して、健康生活を維持しましょう。

樋のひとしずく
羅城門の樋

 昌友会にはたくさんの事業がありますが、「昌友塾」もその一つです。西田昌司の信条を聞こうと月に一度、誰言うともなく自然発生的に出来たのが発端でした。それが70回を超えました。この間、政治や経済の問題は勿論のこと、私達の身近な問題の根源は何処にあるのかを昌司流の切り口と論法で考えてきました。この中で見えてきたのが、私達は敗戦の復興の中で、また経済成長の中で、かなり矛盾を抱えたまま国の繁栄と生活の豊かさを追求してきたことです(ひょっとしたら目をつむっていたのかも知れません)。
 例えば、憲法問題、歴史認識と教科書問題、日中の間にある諸問題、拉致問題等々。どうもこれらは我が国の根本、戦後日本の成り立ちの根幹に関わる問題を内包しているように思えます。そして、私達がさも当然のように享有していると考えている安全と安寧すら、どうも危うい土台の上に築かれた陽炎のようにすら思えることもあります。「だったらどうする!」。最近の昌友塾は次へのステップを目指して具体論へと歩みを進めようとしています。「現状分析と認識」から「次の具体論」へ、様々な観点と責任ある自由な発言の中からそれらは生み出されていくことでしょう。是非、みなさんものぞいて見てください。
 今回私のテーマは「海外から見た日本の教育」です。別段、比較教育論を展開するつもりはありません。制度やシステムを論じても、私達は学究ではないのですから。今日本では、昭和59年に臨時教育審議会が審議して以来の教育改革への流れが俎上に上っています。それも、学力問題に端を発した教科内容の削減や時数削減を問題としています。しかし、教育改革は21世紀の国の発展を支える根幹として「創造力・表現力」や「問題解決能力」を身に付けさそうと考えたのではなかったか。また、再び学校教育を荒廃させないために自律と責任、協調といった価値を学ばせ、子どもの個性の伸長をその目的に置いたのではなかったか。

 ほぼ1/4世紀に亘って論議と試行を繰り返し進めてきた教育改革を、何故か済し崩し的に押し戻そうとする風潮があるように思えます。授業時数削減を元に戻すのもいい。しかし、それは「学校に子どもを行かせれば親が安心するから」、「親の負担を軽減するために学校に行かせる」のであってはならないと思います。我が国の発展を支え、国際社会に活躍できる人材をどのように育てるか、根幹にどのような教育的価値をもってくるのかなどの目的と内容、方法が先に論議されねばならないと考えます。教科書を何ページか増やしても、それを改革とは呼ばないだろうと。
 世界も教育改革に取り組んでいます。国際社会で自国の存在を揺るぎないものとするために、そして自国の発展を支える人材を養成するために。ある人が言っていました。「教育改革は立ち止まったらダメだ。常に進める中にしか改革の成果は見えてこない」と。

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