天皇の退位等についての意見

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天皇の退位等についての意見


 平成29年1月26日
参議院議員 西田昌司


天皇の退位は皇室典範を改正して行い、将来の全ての天皇にも適用されるべきである。


理由

・退位は皇位継承の例外ではない

過去の124代の天皇のうち半数近い58方が生前に退位されているという歴史的事実を重視すべき。明治の皇室典範が退位を否定したことの方が例外である。
これに対して、日本国憲法下の天皇に係る議論において立憲制確立より前は参考にならないという有識者会議の意見がある。これは、天皇の本質が我国の歴史の継承の象徴であるということをあまりに軽んずるものであり、到底受け入れられない。


・明治の皇室典範の問題点

明治維新により、欧米列強の外圧から国の独立を守るため、我国は立憲君主制の近代国家になった。その際、皇室も急激な西洋化が行なわれた。皇室の伝統に則りながら法律ではなく天皇家の家憲として明治憲法起草者である井上毅らが作成したと言われている。急激な体制変換のため、明治当初は西南の役など不平士族の反乱が相次ぎ混乱した。そのため天皇の退位は伊藤博文の主張により政治的に封印された。退位を否定した明治の皇室典範は当時の政治的混乱を背景にした例外的措置と考えるべきである


・昭和の皇室典範の問題点

日本国憲法と同じく、占領中にGHQの指示により作られた。占領を円滑に執行するため、天皇の権威が利用された。一方、明治天皇の直系以外の皇族に臣籍降下を命ずるなど、今日の皇統の継続性に不安をもたらす原因となっている。さらに、本来家憲であったものを法律にすることで、伝統を法律の中に閉じ込めてしまい、日本人から歴史観を奪う原因の一つになっているが、正にそれがGHQの占領方針であったのである。
戦後を終わらせるためにも、憲法同様、皇室典範の作成された経緯を国民に知らしめ、国民的議論をすべきである。


・有識者会議の問題点

有識者会議では、今上陛下のご意向に沿って制度改正したということになると、憲法の趣旨に反するのではないか等、天皇の意思を尊重することに対して、過剰な拒否反応をしている。天皇を国民統合の象徴とし国民の崇敬の対象とする一方で、現実には天皇を法律の中に押し込み、その意思を尊重することも憲法違反だとするのは、天皇の人間性を全く無視するものであり、日本人の伝統精神に反するものである。
天皇を憲法と皇室典範の中に押し込めた結果が、有識者会議をして天皇の尊厳を軽視せしめることになった訳で、正に占領政策の術中に今もはまっている。


・国民的合意

有識者会議では、特別法の制定も提案されている。しかし、有識者会議の議論は先述の様に日本人の伝統精神に必ずしも叶うものではない。マスコミでは民進党と共産党も皇室典範を改正して、退位を恒久的に可能にすべきと報じている。また、世論調査においても国民の多くが皇室典範の改正による退位に賛同をしている。天皇の退位問題は、国民的合意が必要である。また、与野党が対立すべき問題でない。有識者会議の議論より国民的合意を重視して、皇室典範の改正して退位を認めるべきである。


・占領政策の見直し

GHQの占領政策の一環として皇室典範と憲法はセットで作られたが、皇室典範の改正が可能になれば、憲法改正に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。憲法と同じく占領政策の見直しとして皇室典範の改正を議論すべきである。