デフレ脱却と財政再建のために

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デフレと財政危機を作り出した原因

1 日銀の金融政策の誤り

バブルを破壊させるため、日銀が急激な利上げと金融引き締めを行い、不良債権が続発し、バランスシート型不況が蔓延したが、これを放置し続けた。当時の国民世論に迎合した結果、金融秩序を守ると言う中央銀行としての責務を放棄した。日銀の政策の誤りは万死に値する。

2 減税先行と予算削減の誤り

民間企業が不良債権処理を行い、借り入れを縮小しているにも関わらず、政府も財政出動額を減らし続けた。当初は、財政出動による景気対策を行ったのも事実。しかし、バブル崩壊によるバランスシート型不況に対する対策としては少なすぎた。また、日銀との協調がうまくできていなかったことにより効果が少なかった。その結果、財政出動による景気対策は効果なしとの結論を出し、景気対策より財政再建を優先させることになった。デフレ時に予算を削減させると言う究極のデフレ政策を行った。これも万死に値する。

3 民間企業の海外進出による国内雇用の減少の放置

プラザ合意以降、民間企業は海外に生産拠点を移転していたため、雇用が海外に流出した。この結果、度々の減税にも関わらず国内投資は増加せず、税収だけを減らす結果となった。プラザ合意以降、経済のグローバル化により世界経済が構造変化した。先進国では雇用が海外移転し、国内の雇用が減少していることを放置した。その結果、派遣雇用など労働賃金の切り下げを容認することとなる。これにより国民所得は減少しデフレは決定的となった。

4 行き過ぎた地方分権が東京一極集中を助長

国税の地方税化により国の財政調整機能が毀損され、東京など都市圏ばかりに財源が集中的に分配された。その結果、東京などの財政は豊かになったが、その他の地域は財政困難に陥った。加えて、デフレのために全国の雇用も減り、東京などの都市圏に人口が流出した。 結果、首都圏や名古屋圏は栄えたが、多くの地方は貧しくなり、日本全体のデフレがさらに悪化する悪循環に陥った。(デフレ→東京一極集中→さらなる地方のデフレ)

5 税収中立と言う消費税導入時の誤り

本来消費税は、増大する社会保障費の財源として導入されたはずである。すなわち、西欧並の中福祉を目指すなら中負担を国民に求めるべきであった。然るに税収中立の下、法人税や所得税を減税し、必要な社会保障費財源の確保をしなかった。 小さく産んで大きく育てようと言う目論見であったが、バブル崩壊による不況のため増税のタイミングを失ってしまった。
上記の1から4の原因により国内の需要は激減しデフレに陥った。その結果、税収も減少をし続けた。5に述べたように、国民負担を増やすのは当然である。しかし、現在はデフレ状況下のため、まずはデフレを脱出させ、その後に国民負担の増加を図るべきである。

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デフレからの脱却と財政健全化のための方策

1 日銀の量的質的金融緩和

バランスシート型不況を脱出するためには金融面からの支援は不可避である。その意味では、異次元の金融緩和が市場に与えるインパクトが大きいことも事実である。しかし「紐で引く事はできても押すことができない」「馬を水辺に連れて行くことができても、馬に水を飲ませることができない」の格言が示すように、金融政策は実態経済に対してはあくまで後押しをする効果しかない。現に、黒田バズーカによりマネタリーベースは増えてもマネーストックの増加がなかなか進んでいない。デフレ時には財政出動が一番効果がある。財政が主導で金融はフォロー。金融主導が行き過ぎるとバブルを起こす恐れあり。

2 政府の積極的財政出動

上記1で述べたように金融政策だけでは、デフレ時には民間投資は進まない。また企業の海外移転がそれを阻んでいる。そこで政府による財政出動が必要となる。その際、デフレ完全脱却を最優先すると共に長期的成長を見据えたワイズスペンディングが不可欠である。それは、日本再興戦略に明記された各種の投資項目を踏まえつつ、国土強靭化や防災等、中長期的に必ず必要となるものを優先して行うべきである。公共事業に限らず子育てや教育支援など少子化を食い止めるための政策も必要である。これらは一過性のものではなく、10年20年といった長期的な政策目標を示しそれを毎年度行う必要がある。 政府は、長期目標を掲げそれを実行することが本来の責務である。この20年行政改革の名のもとに、政府の本来の責務が果たされない状況になっている。これがデフレを作る一因となり、役人の気概も低下している。これを改める必要がある。 政府が長期的目標を示せば民間企業はそれを見越して必ず投資をしてくる。政府の積極的財政出動の計画が、民間投資を呼び起こすことになる。

3 東京一極集中排除をするための法整備

東京一極集中の要因の1つは、首都圏の再開発により床面積の拡大を容認したことである。ゼロサム社会では、東京の人口増加は地方の人口減少につながる。東京の床面積増加が東京への人口集中をもたらし、地方の衰退を助長している。 都心部で津波や地震等の大災害が起きれば、地方とは比較にならない甚大な被害を被ることは必至で、防災の意味からも人口の分散が求められる。また東京の出生率は全国最低である。東京への人口集中が人口減少を助長することは明らかである。 東京への人口集中は究極のデフレ政策であり、地方分散こそが成長政策である。そのためには、東京への課税強化と床面積の増加を制限することが必要である。

4 プライマリーバランス(PB)黒字化にこだわるな

そもそもPB黒字化は、債務対GDP比を低下させるための方策であったはずである。名目GDPが減少し続けていたデフレ下にあっては、PB 黒字化以外に財政再建の方策はなかった。しかし、アベノミクスはデフレ社会を前提としていない。2本目と3本目の矢である政府支出と民間投資が増加すれば、名目GDPは確実に増加する。PB黒字化にこだわりすぎると政府支出を抑制し、必要な財政出動ができなくなる。これがデフレ脱却の大きな足かせとなってしまう。 日銀の量的質的緩和により、当面低金利が確実に続くため債務が発散する恐れはない。今こそ積極的な財政出動を長期的計画の下で行うべきである。その際、財出効果の出現には1年程度のラグがあること、ならびに成長率の増進とPBの改善の間にも1年程度のラグがあることを明確に認識し、単年度主義で、PBを無理に改善するために財出を抑制することは、景気を悪化させ、将来のPBを悪化させる愚挙である事を認識すべきである。

5 国民負担率を西欧並の50パーセントにすべき

今日の財政悪化の原因が、国民負担率の低さにあることは言をまたない。西欧並の中福祉を実現するためには中負担が必要であるのは当然である。 高額所得者の年金等の給付制限など応能負担を求める声もあるが、その財政的効果は少ないと思われる。むしろ法人課税を強化すべき。西欧では社会保障費の法人負担は日本よりはるかに高い。日本でも西欧並の法人負担を求めるべき。但し、中小企業や赤字企業の雇用の実態を考えると、社会保険料よりも法人税の増税の方が望ましい。 政府の経済財政諮問会議等、その委員のほとんどは大企業の経営者やそれに近い学者ばかりで、企業の負担のあり方について真摯な議論がされているとは思えない。その結果、歳出削減論ばかりがまかり通っている。これは一般国民の意識とはかなりかけ離れている。自らに対する給付のための負担を拒む国民はいない。国民負担率について堂々と議論を行うべきである。 歳入改革を避け歳出削減ばかりの議論は、経済をデフレ化させる。これは、自民党が下野した嘗てと同じ過ちの道を歩んでいる。 尚、言うまでもないが、実際の負担率増加はデフレが解消し経済がインフレ化したときに行うべきものである。
財政再建のためには歳出改革が必要だと言われている。歳出を常に見直し、無駄がないように努める事は当然である。しかし、その当然の事ができなかったことも事実である。今までの政府の予算に無駄がなかったとは言えない。しかし、その無駄が政府の財政を悪化させたのではない。政府の財政を悪化させたのは、社会保障費の増加を予測しながらもその負担を国民に求めることに失敗をしたことと、経済政策の失敗により日本をデフレ化させ税収を落ち込ませたことが根本原因である。 無駄削減というミクロ政策に目をとられて、国民負担率の増加と経済政策の転換が必要だというマクロ的結論を見失ってはならない。

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